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2019-11-26 (Tue)  16:43

歩くだけで面白い?阿部寛の妙

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『まだ結婚できない男』ドラマの枠を超える阿部寛=桑野信介の存在感

11/26(火) 8:10配信

オリコン

 偏屈で独善的で皮肉っぽいけど、なんだかんだ憎めない“結婚できない男”桑野信介。その特異なキャラクター性と世界観から多くの視聴者に愛された彼が、13年の時を経て、53歳の『まだ結婚できない男』(関西テレビ・フジテレビ系)として帰ってきた。視聴率も満足度も好調。とはいえ、女性陣のキャストを一新したことなどにより、前作と比較し、いまでも前作への愛着を捨てられないファンも多数いる。

【写真】桑野信介(阿部寛)とパグ犬との“哀愁漂う”2ショット

 しかし、『まだ結婚できない男』のおもしろさは、なんといっても桑野信介を演じる阿部寛に尽きるだろう。ただただ阿部寛がおもしろく、一挙手一投足に笑わせられたり、微妙な経年変化に感心させられたり、周囲の人々への一向に伝わらない親切心や、親への不器用な愛情表現にほろりとさせられたりしてしまうのだ。

■桑野=阿部寛の笑いを取るいくつかのパターン

 阿部寛演じる桑野は、立っているだけ、歩いているだけ、黙って座っているで十分におもしろい。仕草も表情も、体を曲げる向きに至るまで、阿部寛は画的なおもしろさをおそらく客観的に計算し尽しているからだろう。桑野、というか阿部寛には、確実に笑いをとりにくる、いくつかのパターンがあるように思う。

 そのひとつは、登場シーンにおけるインパクト。扉の向こうのすりガラスごしに濃い顔がぼんやり浮かんでいたり、カウンターのむこうからひょっこり顔を出したり、窓の外ににやりと現れたり、扉を開けたらロダンの「考える人」よろしく彫刻のように座っていたり……。

 姦しく喋る女性たちの背景に、斜め姿勢で聞き耳を立てつつ映り込んでいることも多々ある。毎回、その意表を突いた(しかし、お約束の)神出鬼没ぶりに、視聴者は驚き、軽く悲鳴をあげそうになる。どこかお化け屋敷の仕掛けのようなワクワク感があり、毎度どこからどんなふうに顔を出すのか楽しみでならない。

 もうひとつは、興味の高低差が露骨にわかる「満ち引き」のスイッチ具合。仕事に集中するときも、ジムで体を鍛えるときも、タピオカを飲むときの鬼気迫る真剣な表情も、出会いに関する話を聞くときの小鼻の膨らみ方と目の見開き方も、そこにジャンルによる貴賤・区別はなく、常にMAXの真剣度、興奮度を見せる。それが単にタピオカを飲むだけのことであっても、安易にわかった風はしないし、一切軽視することなく、真摯に向き合う。

 人やモノをランク付けしたり区別したりしない平等さと全力投球具合が、いかにも桑野だ。にもかかわらず、興味を失った途端、次の瞬間には目から輝きが消え、前のめりの姿勢から、深い椅子の腰かけ方にかわる。まるで満ち潮と引き潮のように、その切り替えがわかるから、視聴者はセリフがないシーンでも思わず笑ってしまうのだ。

 もうひとつは、「陶酔感」。今作ではとくに年齢を重ねたことにより、うんちくを披露する場面も増えているが、そうしたときのうっとり感と遠い目は、まるで音楽家か哲学者のようだ。視聴者は陶酔した桑野を見るたび、「また始まったか」と苦笑しつつも、愛らしく思えてくる。

 さらに大きいのは、「哀愁」を漂わせる表現だ。大きな体に小さく見えるヘルメットをかぶり、憂いのある表情を見せるだけで、そのチグハグ具合がおもしろいし、スマホをいじっているだけで、ちまちましていて可愛く見える。つまずいたり、トボトボ歩いたりする後ろ姿も、大きい体と濃い顔だからこそ哀愁が強まる。

 また、時折見せる晴れやかな笑顔には、おそらく「誰にも気づかれない親切」を美学としていそうな頑固さと不器用さ、悲しさ、愛らしさが漂う。

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引用:歩くだけで面白い?阿部寛の妙



最終更新日 : 2019-11-26